ローテンブルク
城壁から眺める裏通り
ロマンチック街道はローマへの巡礼道を意味する。すべての道はローマに通ず。その一角、ローテンブルグは中世の宝石箱といわれる。つまずいた石に歴史あり。城壁に囲まれて、塔と三角屋根がひしめいている。南北1.2キロ、東西1キロしかないのに塔がやたらと多い。17世紀の絵図を見ていると塔が30以上あった。
城主のいたのはわずかな期間で、1172年、自治権を得て自由都市となる。自治を守るために城壁を築いた。城壁というより市壁といったほうがいい。
市壁から、タウバー川が大きくうねっているのが見える。深い森が広がっている。あの辺りはハーブがいっぱい生えているに違いない。昔、魔女が棲んでいたかもしれない。魔女はハーブを調合して病気を治していた。その効能を教会は妬んで魔女を弾圧した。火あぶりにしたりして、かわいそうな魔女ちゃん。ブロッケン山の麓に魔女の祭りがあるくらいだからドイツと魔女は関係が深い。
暗がりのなかに家がひっそりとたたずむ。悪魔の家といわれている。ドイツはどこか不気味なところがある。童話だっておっかない。
市壁から降りたところに門がある。市門は東西南北、その他多数、門を回るだけで日が暮れる。門のトンネルをくぐって街中へ出た。ジーバース塔前のプレーンライン(小さな広場)は、世界一美しい分かれ道といわれている。分かれ道といっても仲をさくわけではない。どっちへ行ってもマルクト広場に出る。
市壁からの眺め
通りには、アクセサリー、レース編み、おもちゃ屋、お菓子屋のお店が並ぶ。店先にぶらさがっている金物細工の透かし彫りは、お店をイメージして、なかなか凝っている。さながら歩く展覧会。
思い出を身につけたくてネックレスひとつ贖うローテンブルグ 陽子
おもちゃ屋さんに並べられた品々がかわいい。子供向けだからとって手を抜いていない。丈夫で手が込んでいて、ドイツ人らしく妥協を許さない。ステンレスの輪のモビールを買った。風が吹く度にゆっくり回る。
1年中クリスマスグッズを売っているお店がある。ケーテ・ウォルファルトというお店には、クリスマスツリーやサンタクロース、天使、ガラス玉の飾り、クルミ割り人形など、数えきれないほどのクリスマスグッズが置かれている。
ドイツ人は頑固で堅いといわれるけど、どこかメルフェンチックなところがある。世界で一番お菓子に熱心なのはドイツ人だそうだ。お菓子の家の話があるくらいだから、そうかもしれない。明子さんがお菓子の家をつくってくれたことがあった。あれはクリスマスのころだった。
ドイツに長くいた明子さんは、グリム童話にもくわしかった。白雪姫もシンデレラも赤ずきんちゃんも、みんなグリム童話にでている。音楽と哲学とお菓子が好きなドイツ人というのは、どういうことになっているのだろう。
暮れなずむマルクト広場二十一時からくり時計がすこしく動く 陽子
1000年の歴史となれば、街にも浮き沈みがある。1631年10月、カトリックのティリー伯ヨハン・セルクラエスが、プロテスタントのローテンブルクに対して、40,000人の軍隊の宿営を求めた。街はこれを拒否し、籠城して守り抜こうとした。
しかし、あっけなくローテンブルクは陥落。「街に火を放ち掠奪する」と脅したティリー伯に、参事らは困惑して、ワインで応じようとした。3.25リットルのワインをガラスコップに注ぐ。ティリー伯はちょっとくつろいだ気分になって、誰かこれを一気に飲み干す者がいれば、攻撃するのはよそうと言った。そこへヌッシュ市長が進み出て、一気に飲み干した。ティリー伯は、これに感銘を受け、街に手出しするのを止めたという。
現在も毎年、街の祝祭劇『マイスタートゥルンク』(見事な一気飲み)が演じられている。暮れなずむ9時、市庁舎の時計塔にからくり人形が現れて『マイスタートゥルンク』をやり始めた。それ一気飲み。頑張れヌッシュ。
マルクト広場の真ん中で、街の楽師がいい音色を奏でていた。われわれも曲に合わせて踊り出した。
マルクト広場でくつろぐ旅行団
城壁から眺める裏通り
ロマンチック街道はローマへの巡礼道を意味する。すべての道はローマに通ず。その一角、ローテンブルグは中世の宝石箱といわれる。つまずいた石に歴史あり。城壁に囲まれて、塔と三角屋根がひしめいている。南北1.2キロ、東西1キロしかないのに塔がやたらと多い。17世紀の絵図を見ていると塔が30以上あった。
城主のいたのはわずかな期間で、1172年、自治権を得て自由都市となる。自治を守るために城壁を築いた。城壁というより市壁といったほうがいい。
市壁から、タウバー川が大きくうねっているのが見える。深い森が広がっている。あの辺りはハーブがいっぱい生えているに違いない。昔、魔女が棲んでいたかもしれない。魔女はハーブを調合して病気を治していた。その効能を教会は妬んで魔女を弾圧した。火あぶりにしたりして、かわいそうな魔女ちゃん。ブロッケン山の麓に魔女の祭りがあるくらいだからドイツと魔女は関係が深い。
暗がりのなかに家がひっそりとたたずむ。悪魔の家といわれている。ドイツはどこか不気味なところがある。童話だっておっかない。
市壁から降りたところに門がある。市門は東西南北、その他多数、門を回るだけで日が暮れる。門のトンネルをくぐって街中へ出た。ジーバース塔前のプレーンライン(小さな広場)は、世界一美しい分かれ道といわれている。分かれ道といっても仲をさくわけではない。どっちへ行ってもマルクト広場に出る。
市壁からの眺め
通りには、アクセサリー、レース編み、おもちゃ屋、お菓子屋のお店が並ぶ。店先にぶらさがっている金物細工の透かし彫りは、お店をイメージして、なかなか凝っている。さながら歩く展覧会。
思い出を身につけたくてネックレスひとつ贖うローテンブルグ 陽子
おもちゃ屋さんに並べられた品々がかわいい。子供向けだからとって手を抜いていない。丈夫で手が込んでいて、ドイツ人らしく妥協を許さない。ステンレスの輪のモビールを買った。風が吹く度にゆっくり回る。
1年中クリスマスグッズを売っているお店がある。ケーテ・ウォルファルトというお店には、クリスマスツリーやサンタクロース、天使、ガラス玉の飾り、クルミ割り人形など、数えきれないほどのクリスマスグッズが置かれている。
ドイツ人は頑固で堅いといわれるけど、どこかメルフェンチックなところがある。世界で一番お菓子に熱心なのはドイツ人だそうだ。お菓子の家の話があるくらいだから、そうかもしれない。明子さんがお菓子の家をつくってくれたことがあった。あれはクリスマスのころだった。
ドイツに長くいた明子さんは、グリム童話にもくわしかった。白雪姫もシンデレラも赤ずきんちゃんも、みんなグリム童話にでている。音楽と哲学とお菓子が好きなドイツ人というのは、どういうことになっているのだろう。
暮れなずむマルクト広場二十一時からくり時計がすこしく動く 陽子
1000年の歴史となれば、街にも浮き沈みがある。1631年10月、カトリックのティリー伯ヨハン・セルクラエスが、プロテスタントのローテンブルクに対して、40,000人の軍隊の宿営を求めた。街はこれを拒否し、籠城して守り抜こうとした。
しかし、あっけなくローテンブルクは陥落。「街に火を放ち掠奪する」と脅したティリー伯に、参事らは困惑して、ワインで応じようとした。3.25リットルのワインをガラスコップに注ぐ。ティリー伯はちょっとくつろいだ気分になって、誰かこれを一気に飲み干す者がいれば、攻撃するのはよそうと言った。そこへヌッシュ市長が進み出て、一気に飲み干した。ティリー伯は、これに感銘を受け、街に手出しするのを止めたという。
現在も毎年、街の祝祭劇『マイスタートゥルンク』(見事な一気飲み)が演じられている。暮れなずむ9時、市庁舎の時計塔にからくり人形が現れて『マイスタートゥルンク』をやり始めた。それ一気飲み。頑張れヌッシュ。
マルクト広場の真ん中で、街の楽師がいい音色を奏でていた。われわれも曲に合わせて踊り出した。
マルクト広場でくつろぐ旅行団
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