“珈琲・紅茶専門店 Scene”から発信されたメールマガジンから話題になったメールの内容を当ライブラリーにストックします。

大岩岳

     大岩岳 (935m)
          (おおいわたけ)

大岩岳
大岩岳山頂付近から北を観る。 眼下に新豊根ダムとみどり湖。 最奥の山並みは南アルプス。

夏になってから休みの度に悪天候のため登山に出掛ける機会がなかった。 9月に入って最初の休日、やっと晴天に恵まれ 2ヶ月振りの登山に出掛けた。溜まりに溜まっていたので思い切り山を満喫したく大岩岳、小岩岳、御園富士、そして神野山と欲張って4山を一気に登った。 少々無理をしてしまったためか最後の神野山では足がつって暫く動けなくなってしまった。

4山の中から最初に登った大岩岳を紹介する。
東栄町と豊根町の境に地味に立つ存在感が薄い山である。 そのため訪ねる登山者も殆ど無く存在を忘れられようとしている。 時々遥か上空から聞こえてくるジェット機のエンジン音以外は人工音が全く聞こえてこない。 鹿、猿、土蛙、蛇、きじ、珍しい蝶…。 今回は人間以外の生き物に随分たくさく遭った。 それだけ人里遠く離れ、自然界の奥深くに足を踏み入れたのだろう。 


【熊より恐いもの】
大岩岳
 またこの立て看板が気になる季節がやってくる。
今回の山歩き 6時間のなかで一度だけ人と遭った。 地元の方で、高圧送電線の点検作業をしていた。 仕事の合間の15分ほど山の話をいろいろ聞かせてもらった。
「熊はたまに見掛けるよ。 御殿山には熊が住み着いているから人間の方が小さくなって暮らしている。」
「かれらは夜行性だから部落の人は夜出かける時、家の中を明るくして、大声を出しながら車に乗り移り、クラクションを鳴らしてから家を出るようにしているよ。」
「人里で熊と出くわしたら大騒ぎして新聞沙汰になるが、おかしいな。 ここでは熊と遭うことは日常茶飯事だよ。」
「ここらには熊より怖いものがいるよ。 野犬だ。 熊は人間を恐れるが、やつらは人間のことをよく分かっている。 自分たちより人間のほうがのろまで追い掛けて来ないことを知っている。」
「人間の食い物を知っているやつらは、登山者を遠巻きにつけて、すきがあれば食い物を狙って近付いてくるよ。」
元々飼い犬であった彼らは山中に放置され、その後野犬化して生き続けている。 この辺りにそんな犬がたくさん居るのだ、と聞かせてくれた。人間(飼い主)の無責任さが情けなく腹立たしい。

【望月峠】
大岩岳から御園富士への登山道途中に“望月峠”という人の名前が付いた峠があり、小さな祠がまつってある。 その云われを知りたくて調べてみた。
武田軍の家臣“望月右近太夫義勝”にまつわる話であった。 長篠の戦で敗れ、ばらばらにになって敗走する武田軍。 望月は東栄の集落まで来ると落武者狩の追っ手に追いつかれる。 家臣として野武士に討たれるのは忍びない、と自害を決意するが、その際村人に「甲斐の国が愛しい。
己の屍を甲斐の国が見える所に祀ってほしい。」、と頼み自決する。 村人は望月の望みどおり甲斐の山々が見える所(今の望月峠)に手厚く葬り祠を建てた。
大岩岳 【望月峠の祠】
悲話は続く。甲斐の国で望月の帰りを待ち侘びていた妻は、夫の死を知ると急ぎ夫終焉の地を訪ねるが、峠まで来たところで盗賊に襲われ夫の後を追うことになった。
今でも村人は“望月様”と呼び峠の祠を護っている。

同じカテゴリー(三河の山)の記事
寧比曽岳
寧比曽岳(2012-01-11 10:28)

尾籠・岩山
尾籠・岩山(2012-01-11 10:21)

岩伏山
岩伏山(2011-12-31 16:56)

平山明神山
平山明神山(2011-12-31 11:07)

三国山
三国山(2011-08-31 09:43)

大山
大山(2011-08-31 09:28)

削除
大岩岳